
オーストリアのウィーン「デメル ザッハトルテ」を頂きました。縦横13cmの正方形の木箱を開けると、チョコレートケーキのホールが入っている。
食べてみると、濃く奥深い甘さであり、何とも言えない香りがする。『あーなるほど… 一気にたくさん食べる必要はないなあ』少量でも充分に満足させられるレベル。
三角形のチョコの封印が歴史を物語り、職人が丁寧に作り上げる。さすがオーストリア帝国、ハプスブルク家の人々が愛した味です。
From:小松﨑孝信
前回の続き。二人目の講師である不動産鑑定士 吉野さんは「境界トラブルの対処法」についてお話し下さいました。
その内容をシェアします。不動産取引におけるトラブルの上位に「土地の境界」がある。
担当営業が、買主に境界の明示を省略したり、独断で誤った境界を説明することが主な原因。前者は怠慢で、後者は侮りと言えるでしょう。
そうなれば、お客さんの財産である土地の位置や面積が変わってくることになる。私たちにとって、最も大事な調査なのかもしれません。
1次的には、私たち不動産会社の担当者が境界の有無をチェックします。樹木や雑草に覆われて見えない場合、鎌を持って草を刈り、枝を払いながら近づいていく。目視できない場合、メジャーを使い見当をつけ、スコップで土を掘っていく。
これがなかなか見つからないものなんです。ブロック塀に覆われていると、当時それを施工した現場の方が、境界杭を引き抜いて元に戻していないこともある。これではどんなに掘っても見つかるわけがない(笑)
そもそも、境界明示の目的は取引される土地を特定すること。買主に購入する土地がどこからどこまでかを理解してもらうために行います。既存のブロック塀があれば、その所有が境界の内側なのか外側なのか中心なのかによって説明が違ってくる。
まず、私たち不動産会社の担当が見つける努力をします。それができない場合、資格のあるもの(土地家屋調査士)が、取引対象地と隣接するすべての土地境界について、関係者立ち合いのうえ決めていく。
道路の場合、国道は国、県道は県、市道は市に立会いを求めます。一般的に民より官は時間がかかります。その費用は、原則売主が負担します。
また、境界杭を探索する中で、法務局に備え付けられている公図・地積測量図などを参考にしますが、作成された時期によっては当てにならないこともあります。測量者の基準や技術、機械の精度は昔より進歩してきている。現代はレーザーで距離を測ります。
2007年までは、土地を分筆する際に片方のみ測り、もう一方は測らずに登記簿から差し引いた残地面積でOKだった(今はどちらも測り、登記簿に合わせることが義務になりました)。
私自身が経験したことですが、測った結果そのポイントで正しい境界杭が目視できる。にもかかわらず、真の境界はそこではない、だから立会印を押すつもりはないと主張を曲げない老人がいた(笑)
『オイオイ、目の前に見えるこれは何?』心の中で突っ込みを入れる。
『うわー、変な人に当たっちゃったな』心の中でつぶやくしかない。
『境界が未確定ということは、将来あなたが売却したいときに困ることにもなりますよ』
『今ここで決めておいた方がいいのでは?費用は隣地の方が払うので、タダですよ』
『そういう問題ではない』
どういう問題だよ、理屈が通じない… 隣同士でもめたことが過去あったのかな?いずれにしても、将来にわたり遺恨を残すことになる。
隣地が空家で所有者が亡くなっていて、相続人が複数でかつ遠方に住んでいれば、立会いにかなりの時間がかかる。精神的というかプライベートな問題で、理由もなく境界の立ち合いを拒否をされることもある。
実際、売主にとっては笑い話では済まないわけです。境界トラブル・隣地トラブルを抱えた土地は、価値が下がるのですから。買主に告知義務があるので隠すことはできない。これを隠して売ったら、判明した時、間違いなく損害賠償です(笑)
また、身長より高いがけや高低差のある土地は、測量の素人である私たちにとっては境界杭の探索ができない。擁壁が亀裂でふくらみ、隣地に越境している可能性もある。ここは専門家である土地家屋調査士の出番です。ケチらず、お金を払いましょう。
どんなときでも、所有者である売主に境界の説明を求める、問題があればそのストーリーを聞いておく、資料と突き合わせ隣地の方と根気よく話をする。
境界トラブルの未然防止は不動産業者の大事な仕事です。